異邦人〜異〜
イラスト書道>2021年 古代文字×名作文学展2
使われている古代文字:異
元となった本『異邦人』(アルベール・カミュ 著)
母親死んだら、泣くか泣かないのか。取り乱すのか、普段通りに過ごすのか。死顔に会うのか会わないのか。それをどうするかは、遺されたものに与えられた特権です。しかし、大多数の人は、母親の葬儀に泣かず、取り乱さず、死顔に会おうとしない人を奇異に思うでしょう。常識がないと怒りを感じる人もいるでしょう。そして、大多数の人と違うことに、恐怖を感じるでしょう。恐怖を感じられたら、その社会からは弾かれるものなのだと思います。 『異邦人』の主人公ムルソーは、正当防衛のような罪だったのにもかかわらず、投獄されてしまいます。そして、最悪な結末を迎えます。その原因は、罪自体ではなく、母親の葬式での「常識とは違う」振る舞いでした。『モンテ・クリスト伯』を彷彿とする部分があったのですが、こうも違うのか。と、思いました。 私たちの生活には、見えない「常識」というルールがあります。それは、決して悪いばかりのものでもありません。「常識」を綺麗な檻のように表現したくて、水引で制作していただきました。檻の中にいるのは、主人公ムルソーですが、ムルソーから見たら、我々が囚われてるのかもしれませんね。 「異」という字は、鬼頭のものがその両手を掲げてる姿から来ており、異常、異変、奇異を表しています。
水引制作:坂井定月
Size:32.5㎝×23㎝(額縁なし)
Price:¥110,000